偶然のエレクトーンとの出会いが音楽の世界の扉を開いてくれた。
━ 立川先生が音楽を始めたきっかけを教えてください。
小学校の頃、放課後に音楽教室にあるグランドピアノをこっそりと弾くのが好きだったんです。
ピアノを習いたいとはなかなか親に言い出せなかったのですが、友達が習い始めたことをきっかけに親にピアノをやりたいと言ったところがスタートですね。
そして、その習いに行ったピアノ教室に偶然にもエレクトーンがあったんです。
エレクトーンは、ピアノ以外にもいろんな音やリズムを出すことができて、当時の私にとってはそれが新鮮で、そこからシンセサイザーの世界に入っていきました。
━ 影響受けたアーティストはいらっしゃいますか?
やはりシンセサイザーのサウンドが好きなので、小学校の時はYMOのライディーンを何度も聴いていました。
そのままTM NETWORKや、初期のシンセサウンドを使っていたB'zなどにすごくハマっていました。
高校に入ってからはACCESSもよく聴いていましたね。
2000年以降はEDMサウンドのSkrillexやZeddにハマりました。
意外にRock系も大好きで、ガンズ&ローゼスやニルヴァーナ、リンキン・パークにもすごく影響を受けました。
あと歌謡曲も大好きで、特に石川さゆりさんの大ファンでもあります。
━ 最初はどのような感じで作曲をされていたのでしょうか?
最初は機材もないので、ピアノだけで作っていました。
私は歌が上手くないので、メロディーをピアノの右手でコードを左手で演奏して、とアナログ的に作っていました。
今思うと恥ずかしい曲が多かったのですが、誰かに聴かせるわけでもなく、ただひたすら作っていましたね。
ABILITYは作曲のきっかけやヒントをくれる。
━ 当社DAWソフト「ABILITY」との出会いについて教えてください。
私の勤めているMusic School WOODで講師を始めてからです。
私がすごく尊敬している師匠の先生がいらっしゃいまして、その先生がABILITYを紹介してくれました。
国産のソフトでサポート体制もしっかりしているので、とても安心できるソフトだなと思います。
━ ABILITYのよく使われる機能や、活用して欲しい機能について教えてください。
メディアブラウザですね。
作曲するときに、テーマが決まっている場合はすぐに作り始められますが、なんとなく曲を作ってみようかなという場合に、データを試聴しながら作曲のきっかけをよく探します。
━ ABILITY 5 Proに入っている、お気に入りのシンセサイザーについて教えてください。
シンセサイザーが好きなので、ABILITYに入っているソフトシンセサイザーのアルペジエータのパターンとかを調べるのがすごく好きですね。
━ 作曲のマンネリ化を防ぐためにはどうすればよいでしょうか?
インターネット社のホームページから
有名な楽曲のコード進行をダウンロードができる んです。
私も曲を作っていると、どうしてもコード進行がマンネリ化することがあるんですよね。
いつも同じコード進行を使っているなとか・・・・。
その時に色々な方のコード進行を見ることで、再発見やきっかけを掴むことができるのでおすすめです。
好きな曲を歌う歌手の歌声をDTMで使えるVOCALOID Megpoidの魅力
━ ボーカロイドとの最初の出会いは?
私がVOCALOIDを知ったのは、確かVOCALOID2ぐらいだと思います。
ちょうど初音ミクが発売されて、世間にVOCALOIDの認知が広がってきた頃ですね。
その時に中島愛さんとMay'n(メイン)さんが歌っていたアニメソングの「ライオン」に私自身がすごくハマったんですが、中島愛さんが歌うVOCALOIDのGUMIの存在を知って、自分が好きな楽曲を歌う歌手をDTMで使えるというのはとても魅力的で、すぐに導入しました。
━ VOCALOID6 AI Megpoid SOLIDの歌声の印象についてお聞かせください。
従来のVOCALOID6 AI Megpoidを使っていて、優しさとまろやかさがある声質が良いなと思ってバラードなどでよく使っていたのですが、今回のSOLIDになって、やっぱりアタック感と押し出し感が強いので、ハードな曲に向いているなという印象を持ちましたね。
デモ曲の制作者自らが楽曲制作を解説する。
VIDEO
━ 今回の楽曲で使った、ボーカロイドのエディットテクニックについて教えてください。
今回はボーカロイド楽曲ということで、色々なところをエディットしています。
まずBメロのところですが、本来のSOLIDの良さを出すために、あえてデフォルトで使っている部分です。
ここにGUMIの本来の声の部分が一番出ていると思います。
それと最初の部分ですが、荒らさを出すために、スタイルで声を歪ませて英語で歌わせています。
更に機械的な音を足したかったので、一オクターブ上のメロディーをロボットボイスにしてレイヤーしています。
今回はレイヤーしましたが、VOCALOID4のクロスシンセみたいな使い方をXSyn(VOCALOID6 AI Megpoid SOLIDのユーザー登録者へプレゼント)で、AI MegpoidとAI Megpoid SOLIDでやっても面白いと思います。
━ 今回の制作環境を教えてください。
ABILITY 5 ProがARA2に対応しているので、VOCALOID6 AI Megpoid SOLIDをARAで同期しながら楽曲制作をしていきました。
2つのソフトが同期して動作するので、ストレスもなく使いやすいです。
実際に楽曲を制作するにあたって、ボーカロイドで母音と子音の割合を細かく調整したり、ABILITY側でエフェクト処理をしたり、相互間でデータを確認することが多くなってくるので、同期して扱えるのは大切ですね。
━ 公式ソングの楽曲面の解説をしていただけますか?
今回は作成したABILITY 5 Proのセッションファイルを配布しているので、実際にデータをダウンロードしていただくとほとんどわかるようになっています。
まず楽曲面ですが、EDMの曲なので、C#マイナーのトニックマイナーのワンコードでシンプルなコード進行にして、最後にDマイナーに転調する感じにしています。
そしてEDMでよくあるパターンですが、半音で動かすフレーズを使っています。
━ 次にサウンド面の解説をしていただけますか?
ABILITY 5 ProにバンドルされているLinPlugのCrX4とMorphoXをレイヤーして使っています。
それぞれのシンセの音の特長を生かして、サウンド面の広がりや厚みを出しています。
━ 次にエフェクト面の解説をしていただけますか?
EDM系の場合は、ドラムのサウンドが非常に重要です。
今回はスネアドラムの音が肝だったので、そこにABILITYに初期の頃から入っている一番シンプルなコンプレッサーを掛けています。
このコンプレッサーは、スレッショルドを下げるだけで良い感じに抜ける音になります。
他のコンプではなかなか無いタイプの掛かり方をします。
それと、ボーカルのサビの部分にだけオートメーションでStereo Delayが掛かるようにしています。
そうすることで音の広がりを出しています。
━ 今回は素晴らしい楽曲を提供していただき、有り難うございました。
こちらこそありがとうございました。
個人的にも、ずっと使ってきたABILITYを使ったGUMIの公式ソング作成に関わることができて楽しかったです。
皆さんもABILITYとGUMIを使って楽曲を作成してもらえれば良いなと思います。
制作したデモ曲の楽曲データは、ABILITY 5と4 SEのフォーマットでダウンロードできるので、何かの参考になればすごく嬉しいです。
ABILITY 5 ProとVOCALOID、4 SEとVOCALOIDのプロジェクトファイルを無料配布中
今回、立川さんにABILITYで作成していただいた、VOCALOID6 AI Megpoid SOLID 公式デモ曲「Rise again from the ashes」のプロジェクトファイルを無料配布中です。
(2024/10/25更新)
ABILITY 4 SEは当社VOCALOID6製品に付属しています。
VOCALは、VOCALOIDをVSTiで設定しているトラックと、出力したオーディオデータを配置しているトラックの2種類があります。 VSTiで設定しているデータではVOCALOID6 EditorでVOCALOIDのデータもご確認いただけます。