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プロデューサー・作編曲家・ギタリストの小川悦司さん。

マニュピレーターもさながらの知識と技術で複数のDAWソフトを操る。DTM雑誌へ多数の記事の寄稿などDTMやDAWソフトに精通した小川悦司さんに、歴代のABILITYから継承する機能やABILITY 3.0の魅力をインタビュー。




━ 小川さんには、歴代のABILITYをご使用いただいていますが、小川さんにとってABILITYはどんなソフトでしょうか?
私は、ABILITYになる前のSinger Song Writerの時代からずっとこのソフトを使っていて、もうかれこれ20年以上の付き合いになります。
DTMマガジンで連載をやっていて色んなソフトを使っていますが、このソフトはちょっと特別な存在です。



私は数値入力を使いたいんですね。

数値でもって音符を細かくエディットするのに、このソフトはすごく向いていて、これは他のソフトにはない機能なので、そういう意味でもちょっと手放せないソフトになっています。

この画面のように数値や記号がずらっと並んだステップエディタで音符の長さや発音の長さ、音の高さや強弱を表現します。

一般的な話しをするのであれば、例えば今回搭載されたコードパッドはコード進行が分かりやすく一覧で見れる機能ですが、コードのことを分かっていない方でも、色の濃いコードを選んでいけば外さないコード進行が作成できます。

ちょっとだけ詳しく言うと、既に指定しているコードに対して、次のコードを何にするのがいいか?の目安にするのに役立つ機能です。基本的にはダイアトニックコード、次に代理和音など「一般的な優先順位」が色分けされているので、少し変わったコードもチョイスできるようになっています。

もちろん、いい音楽になるかどうかは、最終的にはセンスに頼ることになりますが…。

またシングtoスコアといって、マイクで拾った歌声がそのままMIDIデータになってメロディ入力ができたりと、初心者にすごく優しいアシスト機能があります。

かといって、初心者向けかと言うと、別にそういう訳ではなくて、Sonnoxのエフェクトで、スタジオで使用される高級エフェクトが搭載されており、ものすごく高品位なエフェクトが使えたり、今回グラフィックユーザーインターフェースも結構改良されて、ミキサーを大きく開いたり、VCAフェーダーやChannel Linkが使用できたり、他のDAWに慣れた人でも簡単に使うことが出来るし、かなり熟成してきたのかなという感じがします。

VCAフェーダーは、例えばドラムの各パーツや、キーボード全種類など、パートごとにまとめておくとパート全体の上げ下げが楽なので良いと思います。

Channel Linkは複数のフェーダーをまとめて上げ下げできるのでVCAとは別の用途で使えます。例えば、VCAフェーダーを組んだ上で、それとは別に目的のものをチョイスしてまとめてレベルを上げ下げするのに使うと良いでしょう。

━ では、ギタリストの小川悦司さんとして外せない点は何でしょうか?


ギタリストとして考えると、やはりレコーディングでしょうか。

その点に関していえば、最大で16個までのRec Effectを使用しながら掛け録りができることや、範囲指定をしてレコーディングを開始すれば、自分で停止や録音開始の操作をすることなく自動でバーチャルトラックを作成しながらループレコーディングで複数のテイクをレコーディングできる点でしょうか。

演奏をしながら操作のことは考えたくないですし、演奏の技術がまだまだこれからという方にも、ベストのテイクを選ぶだけでなく、Chainモードで上手く演奏できたフレーズ部分だけを繋いでベストテイクを作ることもできるところはお勧めです。
Activeモード

Chainモード


そして、もう一つは、今回新たに搭載された、IK Multimediaのギターやベース用のアンプやエフェクトソフトAmpliTube Metalも大きいですね。Metalという名前がついていますが、Mesa/BoogieやMarshallなどハイゲインのアンプや各種キャビネット、エフェクトを搭載しており、メタルだけでなく汎用的に色んなジャンルの曲に使えます。

目指すジャンルや使うギターにもよるので、「これ!」という絶対的なお勧めという訳ではないのですが、クリーンならオーソドックスにフェンダー系か、Metalに含まれているMarshall系のアンプのゲインを落として使うのが定番ではないでしょうか。

また、色々なエフェクトも用意されていますが、やはりポイントはキャビネットとマイクのチョイス、それとアクシス(マイクとスピーカーの位置関係)の設定でしょう。結構これで音が変わるので、アンプを選んだら次はここを念入りに設定するのがオススメです。


ギター用のアンプやエフェクトとしては、前バージョンを持っていればNATIVE INSTRUMENTSのGuitar Rigも継続して使えるので、両方をあわせるときっと音作りには苦労しないのではないでしょうか。

どちらもVSTプラグインエフェクトなので、ミキサーのRec Effectに差して、掛け録り用のエフェクトとしても使用できます。エフェクトのセットは、FX Chainで保存や読み込みができるのでお気に入りのセットを作っておけば、毎回エフェクトを読み込んで調整をする必要もなく作業効率もグンと上がるのでこれもお勧めです。





動画では、インタビューに続いて、Amplitubeの試奏をしているので、ぜひそちらで、どんな効果が得られるか確認してください。


【小川悦司さんプロフィール】
ギタリストとしてもポケモンベストウィッシュから劇団四季まで様々な作品に参加。またDTM専門誌の連載も多数手がけるほか、notallなどのアイドルから五十嵐はるみ、米澤美玖などJAZZまで数多くの作品をプロデュースしている。

Official WebSite:
http://atozogawa.music.coocan.jp