Singer Song WriterがABILITYへ進化して操作感や機能面などはどうですか?
僕は、DTMで音楽を作ることを始めた時に、カモンミュージックのレコンポーザという 数値入力のシーケンサーを最初は使っていたんです。この「演奏を数字で管理する」とい うのは、極めて僕の中で重要だったんですよね。グルーヴをコントロールできますので。 Singer Song Writerにも同じ機能があることがわかって、Singer Song Writerでギターの打ち込みなどをやっていたんです。
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ABILITYへ名前をかえ進化した時も、さすがに数値入力なくなっちゃうかな・・・?と、 思いましたがこの部分を残してくれたのは大きいんじゃないですかね! ! 昨今の DTM/DAWソフトって暗黙の了解として「キーボードが自在に弾ける事が前提=キーボー ドの技術が打ち込みの技術に直結する」という部分があるので、数字で演奏を管理できるのは大きいと僕は思いますね。
Singer Song Writerに似ている名前「Singer Song Co-Write」というイベントをプロデュースされたとのことで、弊社としては興味を持っているのですが(笑)
お話いただけますか?
興味を持っていただきありがとうございます(笑)。Co-Writeっていうのはコラボレーション型の作曲手法のことなのですが、これをシンガーソンライターの世界でやりたかったんですよ。
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シンガーソングライターって、今やジャズミュージシャンばりに全国ツアーを相当な本数で行って曲作りも演奏もライブも物販もセルフプロデュースできちゃうんですよね。凄い能力だと思うんですよ。美元智衣さんや今井里歩さんのような実力派のシンガーソングライターが、逆にコラボレーションをしながら音楽を作ったら、どういった作品が生まれるのかということに興味があったんです。J-POPのAメロ、Bメロ、サビがあって??みたいな「定型の音楽では無いポップス」を作りたかったという気持ちもありますね。
曲作りをする際、決まったフローはありますか?
楽器を持たないようにしているかもしれません。楽器を持って何かメロディ的なことを作るのは演奏者にとっては簡単なことではありますが、自分のイマジネーションが自分の演奏力を超えていかない危険もあるとも思うんですよね。とにかく、イマジネーションに制限がかからないように気をつけています。
作曲やアレンジで意識している点はありますか?
歌や詞の世界観を、具体的な音で表現することですね。現在、今井里歩さんの2ndアルバムをプロデュースしていて、アレンジも担当したんですが、音の技法ありき、みたいな形で作ると歌が死んでしまうと思うんですよね。例えば、今井さんは非常に変わったコードを使うんですが、そのコードが今、どうしてこの詞に必要なのか、この歌に必要なのか、ということをひとつ一つ考えながら、アレンジをしていきます。あと、オーケストレーションが沢山重なってきた時に、音のぶつかりや、過剰なアレンジになりすぎていないかということも気をつけるようにしています。
ABILITYを作曲やアレンジに活用するお薦めの方法がありましたら教えてもらえますか?
バンドで曲作りをするなら、メンバー全員が同じソフトを持つのが良いと思うんです。ABILITYはコストパフォーマンスも良いので、一人だけがソフトを使うんじゃなくて全員が自分のパソコンに入れておくと良いですね。先日、絵から曲を産み出す「2.5次元」アーティストプロジェクトということで「しるヴぁー」というアーティストの楽曲をバンドレコーディングしたんですが、
レコーディングエンジニアの内川たけひろさんと、僕の両方を同じソフト環境にしておいたんですよ。そうすることで、ABILITYのデータをそのままエンジニア側でも開けるというメリットがありますよね。バンドメンバーが家の近くに住んでいるとは限らないですし、みんなそれぞれ色んな活動をしていたりするわけですからね。そういう時にオンライン上で曲作りを進めていくことが出来るというのは、とても良いですね。
それから、なんといってもこのソフトは「数値入力」でMIDIデータを細かくエディットすることができます。OEMでリットーミュージックさん等の有名教則ビデオを手がけている会社、パオラさんから新しい教則DVD「スケールの法則外伝 ブルースギターソロ構築法 」をリリースするのですがブルースの「ちょっと跳ねたノリ」という、その「ちょっと」というのは、具体的にどのくらい「ちょっと」なのか、というのも、今回は数値的に追い込みながらレコーディングを行っていきました。
シーケンサー上の数字で言うと、8分音符って「240」、16分音符って「120」、半拍3連(6連)って「80」になるんです。それで、"譜面でいう16分シャッフル記号"って、
表が160で裏が80になるんですが、実際にそうやって演奏すると「練習中」みたいな感じのノリになっちゃうんですよね。黒人の音楽を沢山聴こうと言っても、実際どうやって練習したら良いかわからない、こういった時に、ABILITYのような「グルーヴをコントロールできるシーケンサー」をメトロノーム変わりにして練習すると、勿論録音もできるわけですから、自分がどういうハネ方をしているのか、ということもちゃんと把握できるので「最初の一歩を踏む」ことが確実にできると思います。今回のDVDではその辺のことを大事にした演奏をしました。
ABILITYやSinger Song Writerをご使用のユーザーさんへ何かあれば一言お願いします。
ABILITYを活用して、僕がプロデュースした楽曲をご紹介します。先ほどもお話しましたが、バンドレコーディングしつつ、エンジニアの内川たけひろさんと共同のソフト環境で作業を行いました。内川さんからもコメントもらいましたので、是非参考にしてもらえればと思います。
しるヴぁー「夢見るコドモ」
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ABILITYにはSonnoxのプラグインが幾つか付属しているので、重要な音創りをするトラックにはSonnoxのイコライザーを使用しました。またマスタリングをする必要があり、マスタリングにはSonnox Limiterを使用しました。今回はEQ,リバーブ、リミッターでSonnox を多く使用しています。Sonnoxは信頼できるメーカーなので、こういった実績のあるプラグインが最初から付属しているのは非常にありがたいと思います。
美元智衣&今井里歩「Song for you〜聖なる夜に〜」
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この作品は複数のアーティストとコラボ作品だったので、DAW環境も色々なソフトをまたがなければならないところがあったのですが、他のアーティストが違うDAWを使っていたとしても、オーディオファイルをもらって、そこからABILITYにインポートするのも楽でした。この企画は午前中に録音したものを午後には物販でCDとして販売するという非常にタイトなスケジュールだったので、なるべくABILITY内ですべてを完結するように「CD作成機能」を使ってみました。一部のDAWを除いてDAWで直接オーディオCDを作成することができないのが一般的です。ミックスダウン終了後に別のライティングソフトを必要とせず、直接CDができるのは便利な機能だと思います。
では、最後にご自身の今後の活動や作品のご紹介をどうぞ。
2016年・2017年の年末年始はレコーディングやプロデュースが非常に多かったので、DAWが大活躍しました。2017年は、気持ちを新たにもう一度ギターを追求したいという気持ちが生まれてきたので、この春はメッチャギター弾きまくります!5月6日にはライブも予定していますので、是非遊びに来てくださいね。
2017年5月6日(土)「異次弦対決〜天野丘vs加茂フミヨシ〜vol.1」
ライブ詳細:http://ch.nicovideo.jp/fumiyoshikamo/blomaga/ar1193867