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使いこなしのテクニックドラム/パーカッションの入力方法 ~準備編~ 準備編では、ドラムパート,ドラム楽器,ドラム譜について解説します。

この準備編では、実際にシーケンサにドラム/パーカッションのデータを入力する前に知っておきたいこと、特に、MIDI 音源のドラムパートの構成ドラム音色の特徴ドラム譜の読み方について紹介します。
MIDI 音源のマニュアルに記載されているドラムパートに関するページや MIDI インプリメンテーションのページを参照しながらご覧ください。

ドラムパートについて

まず、ドラムパートと通常のパートの相違点について見てみましょう。

ドラムパートの MIDI チャンネルは "10"が標準
MIDI 音源にドラムパートがある場合、そのドラムパートに割り当てられている MIDI チャンネルは、デフォルト "10" チャンネルです。複数のドラムパートを使用する場合や、他のパートをドラムパートとして指定する方法は、それぞれの MIDI 音源により異なります。(システムエクスクルーシブで指定する場合や、バンクセレクト MSB/LSB で指定する場合などがあります。詳細は、ご使用の音源のマニュアルで確認してください。)
ノートナンバーにはドラム,パーカッション楽器が割り当てられている

通常のパートでは、ノートナンバーで音の高さを指定しますが、ドラムパートでは、各種ドラム楽器、パーカッション楽器が割り当てられています。
例えば、GM 音源のノートナンバー C2(36) には "Kick Drum"(キックドラム)、D2(38) には "Snare Drum"(スネアドラム)が割り当てられています。

ノートナンバー 通常のパート
(音の高さ)
ドラムパート
(ドラム楽器)

35
36
37
38
39
40

B1
C2
C#2
D2
D#2
E2

Kick Drum2
Kick Drum1
Side Stick
Snare Drum1
Hand Clap
Snare Drum2
プログラムチェンジでドラムキットを指定する
通常のパートでは、音色の指定にプログラムチェンジを使用しますが、ドラムパートでは、ドラムキットの指定に使用します。
ドラムパートでは、ノートナンバーに各種ドラム、パーカッション楽器が割り当てられていますが、これを一まとめにしたものをキット(またはセット)と呼び、プログラムチェンジ(バンクセレクトを併用する場合もあります。)で、このキットを切り換えることができます。
個々のドラム、パーカッション楽器の設定には NRPN かシステムエクスクルーシブを使う(*1)
通常のパートでは、音量、パン、エフェクトセンドなどの設定には、それぞれコントロールチェンジメッセージ Volume[CC#7], Pan[CC#10], Reverb Send[CC#91], Chorus Send[CC#93] を使用しますが、ドラムパートにこれらメッセージを送るとそのパート全てのドラム、パーカッション楽器に反映されるため、特定の楽器だけをコントロールすることができません。言い換えれば、ドラムパートのマスターコントローラとして作用してしまいます。
GS 音源や XG 音源などでは、NRPN[CC#98,99] と Data Entry[CC#6](あるいは、システムエクスクルーシブ)を使用し、個々のドラム、パーカッション楽器ごとに上記パラメータやピッチを設定することが可能です。コントロール可能なパラメータについては MIDI 音源により異なりますので、ご使用の音源のマニュアル(MIDI インプリメンテーション)で確認してください。(GM 音源ではこのような機能はサポートされていません。)
ドラムパートの各楽器は Note Off を認識しない
一般的に、ドラムパートに含まれるドラム、パーカッション楽器は Note Off を認識しません。しかし、MIDI音源の機種により、Note Off を認識する設定が可能な場合があります。(システムエクスクルーシブメッセージを使用)
通常のドラム音色では Note Off はあまり重要ではありません。と言うのも、1つの楽器でも奏法の異なる音(ミュートした音|しない音など)があらかじめ用意されている場合が多いので、ほとんどの場合それらの音色を使い分けることで対応可能です。しかし、シンバルのチョーク奏法(叩いてすぐにミュートする)など、ミュートを効果的に使いたい場合、Note off は有効です。
ドラムパートと通常パートの相違点をまとめると、

通常のパート ドラムパート
MIDI チャンネル
(デフォルト)
1-9, 11-16 10
ノートナンバー 音の高さ ドラム/パーカッション楽器の割り当て
プログラムチェンジ 音色の指定 ドラムキット,SFX キットなどの指定
ボリューム
パン
エフェクトセンド
などの設定方法
Volume[CC#7]
Pan[CC#10]
Reverb Send[CC#91]
Chorus Send[CC#93]
など
NRPN[CC#98,99]
Data Entry[CC#6]
あるいは
System Exclusive
を使用する。(*1)
ノートオフ 認識する 認識しない
(設定により認識する機種もある)
(*1)音源がいずれかの機能をサポートしていることが前提です。

ドラム楽器と音色名

ドラムやパーカッションは楽器の種類が多く、しかも、MIDI 音源の中の音色名には楽器名ではなく奏法を示すものも含まれています。同じ楽器でありながら奏法の違いによる音色をそれぞれひとつの楽器として扱っているのが MIDI 音源の特徴です。

Drum Kit ドラムキットの例

奏法の違いによる音色名の例
ハイハット
シンバル
クローズNote#="42" ペダルを踏んで閉じた状態をスティックで演奏
ペダル Note#="44" ペダルを踏んで演奏
オープン Note#="46" ペダルを緩め、やや開いた状態をスティックで演奏
スネアドラム スネアNote#="38,40" スティックで演奏
ブラシ Note#="38,39,40"
ただしBrush Kitの場合
ブラシで演奏(さらに奏法により、Brush Tap(38), Brush Slap(39), Brush Swirl(40) などの音色があります。)
サイドスティック Note#="37" リムだけを演奏
シンバルの種類
シンバル ライドシンバル Note#="51,59" 比較的サイズが大きめで、主にリズムを刻むシンバル
ベル Note#="53" シンバル中央の盛り上がった部分
クラッシュシンバル Note#="49,57" サイズや厚みのバリエーションが豊富で、アクセントやフィルインなどに使用
チャイニーズシンバル Note#="52" 周辺部分が通常のシンバルとは反対側に反ったシンバル
スプラッシュシンバル Note#="55" 小径のシンバルで、アクセントやフィルインなどに使用

この他、キットにより、リバースシンバル(逆再生)や、ブラシで演奏したもの、ミュートした音なども含まれていることがあります。

ハイハットシンバルの発音モード

ハイハットシンバルは、奏法の違う音色名が 3 種類(クローズ,オープン,ペダル)ありますが、それらの音色は互いに同時に発音できないモードに設定されています。
例えば、"オープン"が発音中に"クローズ"を発音しようとすると、現在発音中の"オープン"は、"クローズ"の発音開始時点で強制的に消音されるようになっています。
このような発音方式を利用して、"オープン"の音の長さを"ペダル"を使って任意の長さにミュートすることができます。ミュート位置に入力する"ペダル"のベロシティ値を調整することでより自然な感じに近づけることが可能です。

ハイハットシンバルと同様な発音モードを持っている音色名には、次のようなものがあります。

Short Whistle(71)Long Whistle(72)
Short Guiro(73)Long Guiro(74)
Mute Cuica(78)Open Cuica(79)
Mute Triangle(80)Open Triangle(81)
など。
ただし、( )内はノートナンバー

ドラム譜

次に、ドラム譜の読み方について見てみましょう。
ドラム譜では、各ドラム、パーカッション楽器を五線上の特定位置に表記します。ドラム楽器に割り当てられているノートナンバーが表す音の高さと、五線上の表示位置はまったく関係がありません。
Drum Score

一般的なドラム譜の場合、ドラムキットを構成する主要な楽器については、表記位置が大体決まっているようです。(ドラム楽器と表示位置の説明が付加されている譜面もあります。)
上図の例では、ヘ音譜表の第1間にキック・ドラム、第3間にスネアドラムが割り当てられています。ドラム譜の場合、音の高さは単に楽器の種類を判別するだけでリズムを理解するためのものですから、ヘ音記号を使用していても他の楽譜とは意味が違います。

ABILITY / Singer Song Writer では、「ドラム譜表の設定」を使用して、ドラム・パーカッション譜表のどの位置にどのドラム楽器を表示するかを任意に設定することができます。しかも、音符色を変えて、五線上の同じ位置に3種類の楽器を表記したり、シンバル用の音符シンボル(×)を選択することも可能です。
例えば、ハイハットシンバルの場合、クローズを黒色の音符(×)に、オープンを青色の音符に割り当てておくと、入力時に音符色を変えるだけで、五線上の同じ位置にクローズとオープンを入力、表示できます。

ドラム楽器の割り当て